コラム

“クライアントのため”の一貫した強いマインドが作る『プロコーチの在り方』とは

– “クライアントのため” –

森謙吾が伝え続ける、コーチングに必要不可欠な “クライアントのため”の一貫した揺らぐことのない強いマインド。

どれだけスキルを磨き上げ、どれだけのセッションを重ねても、このマインドがない限りコーチ業で生計を立てることはできないと考えています。それだけ重要だと考えています。

では、「“クライアントのため”の一貫した強いマインド」とは、一体どのような“想い”のことをいうのでしょうか。そしてどうすればそのマインドを100%携えることができるのでしょうか。

目次

「“クライアントのため”の一貫した強いマインド」とは何のことなのか

例えば「セッション」「コーチング成果」。「for ~◯◯のため~」を入れてみましょう。

「“クライアントのため”のセッション」
「“クライアントのため”のコーチング成果」

セッションの時間は「“クライアントのため”だけの時間」です。コーチングの成果は、「“クライアントのため”だけの成果」です。これらは、クライアントのさらなる前進成長、幸せになるためだけのものです。そこには、コーチの如何なる我欲も必要ありません。存在させてはいけません。そこには、コーチのためだけに使う時間は1秒たりとも存在しません。

これが「“クライアントのため”の強いマインド」を持ち切れていない場合、このような状態に変わります。

「“私(コーチ)のため”のセッション」
「“私(コーチ)のため”のコーチング成果」

つまりこのようなマインドです。

  • クライアントに素晴らしいセッションだったと言われたい
  • クライアントに気づいてもらって感謝されたい
  • いい成果を出してすごいコーチと言われたい
  • (クライアントに喜んでもらって)人のためになれている自分を感じたい
  • (周りから評価されるコーチになって)イキイキ仕事をしている自分でありたい

など。

いずれも主語は“私”、コーチです。このような状態を、私は『コーチが自分にベクトルを向けている状態』と呼んでいます。

『コーチが自分にベクトルを向けている状態』が少しでもある場合、そのセッションは100%が“クライアントのため”にはなっていません。

100%「“クライアントのため”の一貫した強いマインド」を携えるには

大前提として、コーチのクライアントを想う気持ちの大きさを判断するのは、コーチ自身ではありません。もちろん、他のコーチなどの第三者でもありません。

コーチのクライアントを想う気持ちの大きさを判断するのは、そのクライアントだけなのです。

しかし、そのクライアントの判断基準はこちらにはわかりません。こちらは最大限でも、そのクライアントにはもの足りないかもしれないのです。

結局できることは、自分の持ちうる限り最大の量でクライアントを想う、これに尽きます。そして合わせて、それがすべてのクライアントの満足に値するものでないかもしれないことを常に知っている必要もあるのです。「さらに良いセッションをするには何をどうすれば良かっただろう?」と。

その結果、クライアントのその領域で満足いただくことができなかった場合は、さらに上を目指す課題として向き合えば良いだけです。

もちろん、「あのクライアントは望み過ぎだ」と他責で切り捨てる選択もそのコーチにはあるのかもしれません。そのやり方で、自分を受け容れてくれるクライアントとだけビジネスをやっていくという判断も、それで成り立つのであればありなのかもしれません。しかし、冒頭にも述べたように、私はこの顧客の満足度を追及せずして成功し続けているコーチに出会ったことがありません。

今の自分のお客さまを想う気持ちは絶対的最大量ではない。もし今の自分のキャパ一杯の想いを持っていたとしても、そのキャパにはまだノビシロがあることを、コーチが知っていることが大切だと私は考えています。

どうすれば『自分にベクトルを向けず』に済むのか

私もコーチングを学んでいた頃は、同期の仲間とのセッションで、その歓びを得るため・自分の存在承認欲を満たすためのセッションをしていた時期がありました。仲間が涙すると達成感を感じることもありました。なので、気持ちはよくわかります。

しかしそれは、私自身の自己肯定感が低く、条件付きでしか自分を愛せない状態の表れです。もちろんですが、この“私”主語の目的でのコーチング契約は、概ね長続きしません。クライアントは必ずそのコーチの“下心”に感ずくからです。

ここで「コーチの赤本」からふたつの則を記します。

〈第4則〉
ベクトルを自分に向けるな。自分に向いているベクトルを自覚せよ。クライアントにだけ向けよ。

〈第111則〉
コーチングは量稽古。ただし淡々と数だけこなしても上達はしない。プラスフィードバックを欲しがるセッションに至っては、こなしたセッションの数だけスキルは劣化していく。
どれだけクライアントにだけベクトルを向けたセッションをし、どれだけコーチ自身、自分と向き合ったか。その数こそが大きな成長につながる。セッションはお金をいただいて学べる場。コミットを高めよ。

“クライアントのため”のマインドがもたらす副産物

また、この「“クライアントのため”の一貫した強いマインド」には、大変大きなメリットがあります。

それは、そのコーチに「たくさんの諦めない試行錯誤」と、「アウトプット先が明確なたくさんのインプット欲」を与えてくれることです。

『クライアントのため』のマインドがあることで、日々の生活のなかで、自分のクライアントにお役に立てそうなコンテンツ、情報のすべてが目に留まるようになり、それをインプットし、直ちにアウトプットしてみるというアクションへつながります。

そのインプットには無駄がないばかりか、アウトプットという、何より自身の理解度をさらに深めてくれる機会を与えてくれるのです。このマインドは、インプットとアウトプットの反復をもたらし、継続してあなたというパーソナリティにもっとも最適化された力強いコーチングスキルをどんどんもたらせてくれるありがたい副産物です。

“クライアントのため”の一貫した強いマインドは、他と差別化された、あなたらしいコーチングスタイルを確立していくことを力強くサポートしてくれるものなのです。

是非、このマインドは強く携え続けてください。そして鍛えるための場である「CSフィードバック会」「コーチの赤本勉強会」を最大限利用してください。

本コラムでは、「プロコーチとして生計を立てるために最低限必要なスキルとマインド」をテーマに、5回に分けてコラムを連載しています。

これらは、プロコーチとして生計を立てるために必要な

  1. クライアントを獲得し
  2. その契約を継続する

この2つを実現するために、最低限必要なスキルとマインドだと考えており、これらについてしっかり理解しておくことが、『プロコーチとして生計を立てる』ために必要だと考えています。

プロコーチとして生計を立てるために最低限必要なスキルとマインド

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