コラム

プロコーチに必要な「聴く力」とは、“何ができる”ことなのか

– 聴く –

みなさんがすでに何度も聞いてきたキーワードであり、コーチにとって最も重要なスキルであると誰もが理解しているでしょう。

では、「聴く」とは何をすることでしょうか。聴く力ってどんな力ですか?」と尋ねられたら、あなたは何と答えるでしょうか。

「聞く」と「訊く」と「聴く」の違いを、どのように説明しますか。

「聴く」の意味をどれほど理解できているでしょうか。

そして、その意味に見合うほどの「聴く」という行為をできているでしょうか。

目次

聴く力

「聞く」「訊く」「聴く」の違い

コーチのみなさんには釈迦に説法ですが、“きく”には3つの漢字があり、それぞれによって意味が異なります。

「聞く」は門に耳を近づけ、その隙間から聞くという字を書きます。「音・声を耳に受ける」という意味があります。

「訊く」は聞き手が聞きたいこと、知りたいことを訊くことです。つまり、聞き手の情報収集のための手段です。

「聴く」は耳で十四の心を聴くと書きます。つまり、相手の発する言葉だけでなく、その奥、その源にあるさまざまな心、想いも感じるほどに「聴く」ということです。

クライアントの話を聴きながら、これまでの“人生を聴く”

「コーチの赤本」からひとつの則を記します。

〈第73則〉
クライアントの「いま」を聴くことで、クライアントの「これまで歩んできた人生」を聴け。

「聴く」とは、クライアントの話に耳を傾けながら、その心を携えるに至ったこれまでの“人生を聴く”“心を聴く”ということです。

そして、どう聴くのかというと、『全身で聴く』。
心も体も頭も、すべてをクライアントに集中して聴く。

今このセッションの場で顕在化しているクライアントの課題、テーマを聴きながら、クライアントのこれまで生き重ね、頑張ってこられた人生、大切にしてこられたものに想いを馳せ、祝福し、そしてそのクライアントの本当の課題、本当に望んでいるものは何なのかを推し聴くということです。

『全身で聴く』ために必要なのは、クライアントの“存在そのもの”に対する強い好奇心

この、コーチの『全身で聴く』をもっとも助けてくれるのは、クライアントの“存在そのもの”に対する強い好奇心、「聴きたい!」と夢中になることです。
“努力”は“夢中”に勝てません。

人は知っているものには好奇心、興味関心は湧きにくいものです。

クライアントに対して「このクライアントはこんな人だろう」「このクライアントはきっと◯◯な状態なんだろう」「このクライアントは◯◯に囚われているんだろう」など、コーチが自分の知っているものに“振り分けてしまうこと”は、クライアントへの好奇心を阻害してしまいます。

つまりそれは、クライアントへの決めつけですね。

自分とはまったく違った人生を歩んでこられた目の前のクライアントの、あなたの経験したことのない物語を感じ聴いてみてください。自然と好奇心が駆り立てられ、それを聴くコーチのキラキラした表情は、自然とクライアントにこの場が安全な場だと安心させるものになっているはずです。

プロコーチに必要な「聴く力」とは、“何ができる”ことなのか

「聴く力」とはつまり、クライアントの“存在そのもの”に対する強い好奇心を持ち、大切にしてこられたものに想いを馳せ、祝福し、クライアントのこれまでの“人生”や“心”を全身で聴きながら、そのクライアントの本当の課題、本当に望んでいるものは何なのかを推し聴くということ。

クライアントには、これまで経験したことのない次元の、「聴いてもらう体験」をしていただくことになるはずです。

プロコーチに必要なスキルのひとつ目は、この「聴く力」です。

本コラムでは、「プロコーチとして生計を立てるために最低限必要なスキルとマインド」をテーマに、5回に分けてコラムを連載しています。

これらは、プロコーチとして生計を立てるために必要な

  1. クライアントを獲得し
  2. その契約を継続する

この2つを実現するために、最低限必要なスキルとマインドだと考えており、これらについてしっかり理解しておくことが、『プロコーチとして生計を立てる』ために必要だと考えています。

プロコーチとして生計を立てるために最低限必要なスキルとマインド

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