コラム

「コーチの赤本」は何を目的とした本なのか

※こちらはコーチの赤本【初版】についての説明となっております。現在コーチの赤本は【第二弾】となっており、詳細はこちらにてご確認いただけます。

「コーチの赤本 〜プロフェッショナル・コーチ 心の態度130則+1」は、プロコーチに必要な2つのものを得られるきっかけをつくる本です。
ひとつは、プロコーチに必要な「マインド」を醸成する。
そしてもうひとつは、「コーチが自分と向き合うべきものに気づき、向き合うことで得られるものの尊さを知る」こと。

私自身にとって、クライアントに貢献し続けるプロコーチであり続けるために、自分自身を都度振り返り、律し、迷わず戻るための軸となっています。

目次

「コーチの赤本」を書いたきっかけ

2015年の実践コーチング塾の開講。これがコーチの赤本を書くきっかけでした。

過去にコーチング指導をしていたスクールでの教え子たちと共に、実践コーチング塾を始めるにあたり、「プロのコーチであるために」「プロフェッショナルとしてお客さまを迎えいれるために」必要なマインド面のフィードバックを文章化したものが「コーチの赤本」の始まりです。

“プロコーチであり続ける”ために重要な「プロコーチ マインド」

コーチングには「スキル」と「マインド」が必要です。
自身の経験、そして周りの成功し続けているコーチをみても、“プロコーチであり続ける”ためには、「マインド」が最も重要だというのがわかります。

実際に、有償クライアントの継続が上手くいかない、クライアントとの継続に不安や恐れを感じてしまうのは、ほぼすべての場合コーチの「マインド」が原因です。

そして多くのコーチがそれに気づかず、自分に何かが足りないとコーチングやビジネスのスキルのインプットに時間を費やしたり、もしくは漠然と気づいてはいるが自分のそのマインドがどういうもので、どのように向き合えばよいかはっきりしないでいます。

確かにコーチングスクールでは、スキルとマインド両方の重要性は伝えるものの、「スキル」の具体的で再現性の高い学びと違い、「マインド」は、受講生がその受講期間において学び、その重要性を体感し、自発的に変化させ、そして自分のものにすることは難しいのも事実です。

また、我々指導する側の人間からしても、スキルは教えやすい上に、受講生の納得と満足度を得られやすいので、自分たちのためにスキルの指導に比重を高くしたくなりがちなのも事実です。

では、“プロコーチであり続ける”ために必要な「マインド」は、如何にすれば学び、自分のものにすることができるのか。

私自身の経験、そして多くのクライアント、教え子たちと対峙するなかで直面してきた「マインド」における課題発見と課題への取り組みを振り返ったとき、きっかけとなるのはいつも「自身のネガティブな感情」への気づきでした。

「ネガティブな感情」の気づきがマインド成長のきっかけ

私自身が、自分の「マインド」における課題発見のきっかけとなるのはいつも「自身のネガティブな感情」に気づいたときです。そして「自身のネガティブな感情」は、多くのクライアントやコーチ仲間と対峙したときに湧き出るものでした。

これらの「ネガティブな感情」と出会ったときが、「プロコーチ マインド」の成長のチャンスです。コーチの経験とナレッジが成長、変化するチャンスです。すべてのクライアントとのより良いコーチングのために、自分と向き合う感謝すべき“きっかけ”なのです。

この「ネガティブな感情」に、“気づく”には、「ネガティブな感情が湧き出る環境」と、それに気づくための日常的な「自分のマインドへの意識」が必要です。

「プロコーチ マインド」の課題発見のための130則

「コーチの赤本」を読むと、読み手の心に、湧き出るネガティブな感情が存在することに気づいていただけるでしょう。

これはその<則>の各内容となる「マインド」を中心とした、マイナスフィードバック(率直な改善点の指摘)を文章にし、提示していることもさることながら、意図的に、読み手の中の「反発」や「恐れ」、「虚栄」や「怒り」「傲り」「(自己)否定」など、個々が向き合う価値のある、さまざまなネガティブな感情心理を表出させるような言い回しや厳しい表現をしています。

日常的な「自分のマインドへの意識」をしていれば、「ネガティブな感情」を課題(コーチが自分と向き合うべきもの)と気づき、受け容れることができます。こうして「プロコーチ マインド」の成長と自立を促すことを目的としています。

また、より明確に「ネガティブな感情」を自覚認識できるように、最終頁に136個のネガティブチェックリストも載せてあります。

考えるための工夫・深めるためのシェア・相互フィードバック

各々のフィードバックは、読めばすぐに理解できる親切で丁寧な文章はできる限り避けました。ただ与えられるティーチングコンテンツではなく、「これはどういうことだろう?」と一旦思考を巡らせ、自らたどり着いた感覚を得てもらうような文章にしています。

そして、その気づきをさらに深めていただくために「ネガティブな感情と直面するという実体験を数多くする」こと、さらに「その実経験を他人とシェアし、相互フィードバックをし続けること」がもっとも重要だと考えています。

他人と、特に他のコーチたちとシェアし、フィードバックし合うことで、湧き出たネガティブな感情(自身の慣れ親しんだ心理・感情)が当たり前のものではなく、自身特有のものだと気づき、その心理、感情にこれまでのように反応しコントロールされるのではなく、それを客観視しコントロールすることができるようになっていきます。

こうして向き合い、理解し、コントロールできるようになることが「プロコーチ マインド」の成長へとつながっていく、そしてクライアントに貢献し続け、継続し続けることに必要であると確信しています。

成長、変化。向き合うことで得られるものの尊さを知ったコーチになれる

「コーチの赤本」を手にしたコーチから、

  • 「自分のネガティブな感情に気づき意識できるようになった」
  • 「だんだんコーチの赤本を読むのがしんどくなってきた」
  • 「セッションを重ねる毎に、赤本に書いていることの理解が深まっていく」
  • 「セッションで自分のなかで何が起こっているのかがわかった」
  • 「読むたびに目が留まる〈則〉が変わる」
  • 「セッションを重ねる毎に、目が留まる〈則〉の数が増えていく」
  • 「最初は自分はできていると読み流していた〈則〉が、セッションを続け、仲間とシェアするなかで、自分にとって一番できていない〈則〉であることに気づいた」
  • 「自分を知ることで、クライアントをより受け容れることができるようになった」

などの声を聴きます。

これは、そのコーチ自身が自身のマインドと、恐れず向き合うことで得られるものの尊さを知った証であり、コーチ自身が「成長し、変化することを身をもって体感する」という重要なリソースの構築です。

「コーチの赤本」からひとつの則を記します。

〈第110則〉
クライアントがクライアント自身と向き合ってもらうために、コーチ自身が自分自身と向き合うことの先にあるものを数多く見ておけ。
クライアントには求め、自分は「無理だ…。」「仕方ない…。」「だって…。」では通らない。
クライアントが向き合わない原因は、目の前の、自分と向き合えないコーチにある。
担当コーチが代われば、そのクライアントは向き合い、進み出すはずだ。

活用していただくために

「コーチの赤本」は、できれば毎セッションの前、少なくとも月に1度は目を通してください。

なぜなら、自身の成長を望むコーチは読む度、今そのコーチが直面している課題、今からセッションをするクライアントとの関わりの中での課題にリンクした〈則〉に目が留まり、その都度、向き合う心の準備や対策ができるからです。そして、その目が留まる〈則〉は、そのコーチの成長に伴い変化していくからです。

目の留まる〈則〉があること、目の留まる〈則〉が変化していくこと、それがコーチの経験とナレッジが成長、変化したことの証だと歓び、受けとめて考えてください。

「コーチの赤本」は、シェアしフィードバックし合うための「コーチの赤本勉強会」の教材です。「コーチの赤本勉強会」に参加される方に提供しています。

「コーチの赤本 〜プロフェッショナル・コーチ 心の態度130則+1」の詳細はこちらから


自身の自覚しているもの、そして潜在しているものを知り、向き合う、そしてその向き合うものを入れ替え続けることは、クライアントに貢献し続け、幸せに稼ぎ続けるプロコーチであるために必要です。

それを叶えられる場として、そしてひとりでも多くのコーチに提供できるよう、毎月開催しているのが「コーチの赤本勉強会」です。是非、ひとりでも多くのコーチに参加してもらい、コーチとして、そして人として、さらなる幸せを得ていただきたいと考えています。

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