コラム

人生の中で一番努力・研鑽した 営業マン時代(森謙吾プロフィール8)

その後、やっと初受注をあげ、私の自己成長の想いはさらに続きます。

この会社を選び、新規の営業職に就いたことは、自分の苦手を潰すだけでなく、起業した後に必要なスキルだと思っていたので、そのコミットはとても高いものでした。とにかく営業のスキルを上げたいと強く思っていました。起業に向けて長年続けてきた修行の最終仕上げだと思っていました。

営業の書籍はじめ、心理学の本などもたくさん読みました。同じくコミットの高い同じ事業部の同期声をかけ、毎朝6時30分に出社し、ロールプレイングもしていました。

土日の休日は他業種の営業から学ぶため、各自動車ディーラーや旅行代理店、不動産屋などあらゆる営業マンのいるところに行って営業をかけられ、時には街のキャッチセールスに自らかかり、いろんな営業に触れました。

自分の醸し出す購入意欲を大小変え、演じ、さまざまな業種のさまざまな営業マン、販売員のアイスブレーク、ヒアリング、商品説明、クロージングなどなど、そのトークやテクニック、時間配分、売る側と売られる側の話す比率などを研究し、予定のない休日はずっとそれを続けていました。企画提案書の見せ方にも自分なりの工夫をしていました。

当然平日は、営業の途中でお茶を飲んだりサボったりしたことは一度もありませんし、自分のクライアントさんに協力してもらい、その会社の社員になりすまし、同業である競合の求人広告代理店の営業を受けてみたこともありました。

電車の中でスーツを着たサラリーマンが漫画などを読んでいるのを見ると軽蔑までしていました。社内外問わず、目に入る営業マンに強い対抗意識を持っていました。

そして、学んだもの、インプットしたものは即、アポイントの場で何度も試しました。とにかく、四六時中頭の中は営業のことでいっぱいでした。

営業に関しては物心あらゆる面で良いと思うものを試してきました。今までいろいろな経験をしてきましたが、いま振り返れば人生の中で一番努力、研鑽したのはこの“営業”でした。しかし、目的が明確だったので、苦しいと感じることはあまりありませんでした。図らずもその頃の私の営業活動はPDCAがキッチリ回っていました。ずっと進化し続けていたように思います。

しかし、その中で苦しむ時期が訪れました。

インプットしたさまざまな手法を試す中で、営業活動においての人の心理を捉え、時にコントロールすることの有効性を強く体感していくのです。先方にどう思われるか、そしてどう思わせるかが結果に直結する。それをコントロールする心理手法もインプットしては試し、成果を上げていきました。

しかし、その心理テクニックを現場で実践すると結果は出るのですが、それを続けていくうちにだんだん罪悪感に似た後味の悪さを感じ出していったのです。お客さんを騙しているような、操っているような。

でも、「私という営業マンとつき合うことはお客様にとって良いことだ。そのためにも契約を取るまでのプロセスはどうだって構わない。」と、気持ちを落ち着かせようとする自分もいました。そのためにも納品後のお客様の成果にはとてもこだわっていました。

その葛藤の中で、私のテクニックが通用しない先方さんもたまにおられました。その方々の共通点はいずれも、私の心理を見透かしていたようにその当時は感じていました。

私自身、罪悪感を感じていたので、その方々の様子にはとても敏感になっていたのもあり、すぐに汲み取れたんだと思います。

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